ナマステ〜(こんにちは〜)。
インドはカシミール州スリナガルにおります。カシミールは北インドの西側、パキスタンとバチバチの国境(?)を接する山岳地帯。
ダル湖のウォーターハウスに滞在して、シカラと呼ばれる小舟で遊周したり、周辺の山々まで足を伸ばし雪を楽しんだりと、昔は英国人、現在は富裕層のインド人が避暑に来る観光地でもあります。
そんなカシミールに貧困層のわたくしが足を運んだ理由、それは
カシミール・グレイト・レイクス・トレッキング(Kashmir Great Lakes Trek : KGL)を敢行するためであります。(`_´)ゞキリッ
結論から言うと、悪天候のため完遂はできず途中で撤退となったのですが、それでもとても楽しかったのでご紹介したい所存。今回の記事ではKGLの概要・準備の仕方などを解説していきたいと思います。
KGLとは
KGLとは、スリナガルの北側の山岳地帯で湖を巡るトレッキング。通常5泊6日を要し(全テント泊)、カシミールの壮大な山々と谷を超えるルートをとる、国内外から多くのトレッカーが訪れる人気のトレッキングコースです。
今回わたしはINDIA HIKESというインドのトレッキング会社のツアーでKGLに行ってきました。トレッキングの概要についてはHPに詳しく記載がありますので、ここでは簡単にざっくりふんわりご紹介するに留めます。
トレッキングコース
地名 | 歩行距離(km) | 所要時間(h) | 高度(m) | 標高差(m) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
スタート | シットカディ | Shitkadi | 2,628 | 908 | ||
1泊目 | ニッチナイ | Nichinai | 11.6 | 6.5 | 3,537 | 494 |
2泊目 | ビシュヌサール | Vishnusar | 13.5 | 7 | 3,660 | 519 |
3泊目 | ガドサール | Gadsar | 16 | 7.5 | 3,263 | 389 |
4泊目 | サトサール | Satsar | 11.5 | 4.5 | 3,653 | 393 |
5泊目 | ツインレイク | Twin Lake | 9 | 6 | 3,500 | −1,123 |
ゴール | ナラナグ | Naranag | 13 | 6 | 2,377 |
画像の水色のラインがわたしが実際に歩いたルートで、悪天候のため②ビシュヌサールから折り返しています。本来は青いラインをナラナグまで辿ります。
上記表の高度と標高差はINDIA HIKESのHPのFt表記からmに換算したものですが、HPとYoutubeに記載されている数字がまた違くて、あんまり自信がありません。笑 ので、だいたいの目安としてお考えください。
ちなみにサール(sar)はヒンドゥー語で「湖」の意。ビシュヌサールはヒンドゥーの神ビシュヌの湖という意味。
※今回の記事ではわたしが実際に歩いたビシュヌサールまでの情報を記載しています。ビシュヌサールより奥になるとどうなっているのか未知なので悪しからず。
シーズン
KGLのシーズンは7月〜9月上旬。わたしはシーズン1発目(7/5)で行ったのですが、何日か前にINDIA HIKESから「残雪が多くパーミットがおりなくて、別のトレッキングに変更するかも」的なお知らせが来ていました。幸運にも2日前くらいに許可は下りたのですが。7月初旬はまだ雨が降ることが多く、雪も降りました。せっかくインドまで行くのにルート完遂できなかったらちょっと悲しみなので、シーズンと呼ばれる期間の真ん中あたりがいいのかなあと。シーズンはシーズンで人多そうですけどね。٩( ‘ω’ )و
準備
外国人がKGLを行くには、ツアー会社か個人のガイドを通した方が無難かと思います。と言いますのも、KGLはパキスタンとインドのバチバチな国境付近を行くので、入域のパーミットを取得しなければなりません。パーミットはスリナガルのツーリストインフォメーション(TRC)で取得できますが、IDやビザの他に医師による健康診断書、登山での事故がカバーできる保険加入の証明、ガイドの同行が必要で、取得難易度は不明。
ただ、TRCでガイドの同行が必要と言われたので、外国人のソロトレッキングは不可能のようですね(詰み)。いやあんまちゃんと聞いてないからわかんないけど。
また、登山口に向かうまでも何ヶ所か検問があり、トレッキングルート上でもパーミット・パスポート・外国人はビザのチェックが入ります。本当にソロが禁止されているとしたら登山口前で門前払いなんてこともあり得るわけで。行けないことはないかもしれませんが、事前の準備や下調べがとても重要になり、ちょっとした不備で叶わないなんてこともありうると思います。
また、KGLは日本の登山と違い、広い開けた谷をいくトレッキングです。その広さゆえにルートは一つだけではなく、その時の天候や足元に応じたルート選択が必要となります。これはローカルのガイドに頼るのがいちばん安全かと。またコース上には羊飼いやローカルの方が生活しているエリアもあり、その土地のルールや人とのやりとりなども、自分だけでは対応しきれない部分も出てくるかと思います。実際、このエリアでトイレしちゃダメとか、あのローカルのテントより上流で洗い物しちゃダメとか、パッと行っただけでは分かり得ないルールもありました。まあ聞けばなんとかなりますけどもね。
まあ個人でも行けるのかもしれませんが、めんどく…労力とリスクに対する見返りを天秤にかけると圧倒的にツアーに傾いたということです。というわけで個人で行く手段については調べてないですごめんなさい( ´θ`)
ウォーターハウスを経営する地元の子がたまにゲストを連れてトレッキング行くとか言ってたから、宿によってはオーナーが助けてくれるところもあるかもしれませんが。ちなみにインド人の個人トレッカーは少数ですがおりました。羨ましい。
ツアー申し込み
わたしはINDIA HIKESを利用しましたが、他にもツアー会社はあるので、好きな会社をご選択いただければと存じます。KGLは人気のトレッキングなので早め早めに予約した方がよろしいかと。わたしが6月に予約しようとしたところ、もうシーズン初めの日にちしか残っておらず、インド行きを早める他なかったという状況もございますゆえご注意されたし。笑
必要書類を揃える
INDIA HIKESだと、提出しなければならない書類は以下。
- パスポート(オリジナルとコピー)
- 健康診断書
- 問診票
- 免責書類
パスポートはWEBにアップロード、後三者についてはHPからフォームをダウンロードして記載、事前にメールで送付。トレッキング当日にも紙で提出します。トレッキング前にメールで担当者とやりとりする場面があるかもしれません。全て英語なので、得意じゃない方は頑張りましょう。
フライトと宿の予約
トレッキング日に合わせてフライトと宿の予約をします。トレッキング前日夕方にDAY0のミーティングがあるので、遅くてもDAY0の昼までにスリナガルに到着する便を取ると良いでしょう。余裕があれば数日前に到着しておくと準備や高度順応が多少できるので安心。(スリナーガルは標高1500m程度ですが、0mから急に行くよりは良さそう。)
天候によって予備日を使ったり期間が延長する場合があるので、日時変更可能なフライトを取るようにしてねって言われるんですけど、山の中は電波がないので変更もクソもないような気がするのはわたしだけでしょうか?笑 帰りのフライトはまあ終了予定日の翌々日以降に取っておくくらいがちょうどなのかなあと思います。登山口の少し手前では電波あるみたいなので、SIM利用される方はどうにかなるでしょう。時間のある方は数日余裕を取ってスリナガル観光もしていくのもアリですね。
宿はピックアップ場所に近いところを選ぶと良いと思います。わたしは約2km離れたところに宿をとり、早朝5時集合に合わせてまだ暗い中徒歩で向かいましたが、野犬に一生吠えられ心拍数を上げた次第です。笑 インドの野犬は体が大きく人も殺せそうな感じなので、徒歩圏内に宿を取るか、タクシーの予約をしておくことをお勧めします。早朝で流しのタクシーほぼいないと思って良いかと(わたしは一台見ましたけど笑)。ホテルで相談すれば助けてくれるでしょう。
トレッキング中、バックパック以外の荷物はINDIA HIKESが有料で預かってくれます。200ルピー/個。お泊まりのホテルで頼んでもいいと思いますが。
トレッキング流れ
わたしが体験したトレッキング前日からの流れをざっとご紹介します。なんとなくイメージが湧けば幸い。
- DAY0
-
・18時にミーティングポイントに集合
・ガイダンスと簡単な自己紹介
・レンタルギアのフィッティングと手続き
・荷物預ける場合はこのタイミングで - DAY1
-
・5時ピックアップ場所に集合、タクシーの運転手に直接料金を支払う(1,200ルピー/往復)※現金を用意
・5:30出発
・約2時間で朝食ポイントに到着
・提出物(書類)を提出、簡単なインタビュー、血圧、SpO2測定、朝食、各々昼食をパック
・インナーシーツ、アイゼン、エコバッグ(ゴミ拾い用バッグ)配布、パッキング
・タクシーで登山口へ。9:30トレッキング開始
・ランチ休憩を挟み、夕方キャンプサイト到着、みんなでストレッチ(仲良し)
・夕食、軽く感想発表タイム、就寝 - DAY2〜6
-
・5時周辺で起床、朝食、テント撤収
・ランチを各々パックする
・出発
・キャンプサイトに到着したらストレッチしておやつタイム
・夕食、就寝 - DAY6
-
・下山後、DAY1の朝食ポイントでインナーシーツ、アイゼン、エコバッグ返却
・スリナガル、ミーティングポイントでレンタルギアを返却して解散
オフローディング
オフローディング(Offloading)とは馬に荷物を運んでもらうことを指します。INDIA HIKESではオフローディングはオプションです。500ルピー/日。金を出せば軽い荷物で歩けるっていうやつです。重さは9kgまで、専用のキットバッグが前日に配布されます。体力に自信のない方や、金が有り余ってしょうがないっていう方は利用してもいいと思いますが、基本INDIA HIKESはオフローディングをおすすめしないスタンスのよう。KGLは本来馬が生息するエリアではないので生態系への影響を配慮してとのことです。ちなみにわたしは利用しませんでした。
テント、寝袋、マット、食事関係などの荷物は馬が運んでくれます。私たちは個人的な装備だけを背負えば良いという格好。テントの設営や食事提供もスタッフがやってくれます。私たちより馬が先にキャンプサイトに着いて、全部準備していてくれるっていう寸法です。とっても楽ちん…金払ってるけどありがてえ。笑
レンタルギア
レンタルギアも格安でやっているので、日本からの荷物を減らしたい場合は利用も◎レンタルする場合は事前にHPで予約を。なんか当日でもできる感じだったけど。笑
天候と装備
スリナガルは温暖で雨が少なく乾燥した気候。7月の街では気温は20℃半ばから30℃程度。山へ行き高度をあげると当然気温は下がりますが、それでも日中晴れていれば20℃前後でした。朝晩は冷え込み、0℃は切らないものの気温は一桁まで下がります。8月、9月になるとどう変化するかわかりませんが、わたしは持参した装備(レイヤー)でちょうどだったのでご紹介しておきます。
数 | ブランド | |
---|---|---|
メリノTシャツ | 1 | 山と道 |
メリノロンT | 1 | 山と道 |
薄手のジャケット | 1 | Haglofs |
GORE-TEXジャケット | 1 | ARC’TERYX |
ナノパフジャケット | 1 | Patagonia |
レインコート | 1 | 山と道 |
短パン | 1 | 山と道 |
ロングパンツ | 1 | 山と道 |
タイツ | 1 | 山と道 / Light Alpha Tights |
メリノ靴下 | 2 | HIKER TRASH |
ネックウォーマー | 1 | THE NORTH FACE |
キャップ | 1 | RIDGE MOUNTAIN GEAR |
トレランシューズ | 1 | Altra / LONE PEAK6 |
INDIA HIKES推奨の持ち物はもうちょっと多いんですけど、わたしはこれでちょうどよかったです。いや季節的にちょっと寒かったこともあったけど笑 それぞれ色々思案してみてくださいね。
難易度
KGLは難易度としては中となっていますが、日本の山をコースタイム6〜7割で行く人なら余裕かと。10割でいく人でも、所要時間通りに行けるんじゃないかなあ。一応60分/10kmで走れる体力があることが推奨されていますが、みた限り今回の参加者はそれを満たしていた人は少なかったですね。笑 なのでとてもゆっくりでした。予定時間にキャンプサイトに着いたことなかったと思います。笑 それでも参加はできるけど、他の参加者に迷惑かけたりチーム全体の足枷になり得るので、最低限の体力はつけて行った方がいいと思います。
急登はほぼなく、なだらかな登りとフラットなエリアも多いです。パス(pass)と呼ばれる峠越えみたいのが3箇所あり、そこは頑張りどころです(わたしは1つしかこえてないけど)。基本的に土の道ですが、渡渉や岩場、季節によっては雪もあります。履き慣れたトレッキングシューズでいきましょう。ちなみにローカルの人たちはボロボロの革靴を履いていたりでした。すごい。あと基本的に道はうんこだらけです。気にならなくなります。笑
水のサプライ・食事
お水事情
基本的に水の流れる谷を行くのでサプライは容易です。次の水場までどのくらいあるからこれくらい入れとこうとか考えたことなかった。笑 そしてお水がとっても美味しい!浄水器なしでみなさんガブガブ飲んでました。もちろんわたしも。全然おなか壊したりしなかったけど、この水源で生活している人がいると考えるとちょっと何入ってるかわかんないので、ちょっと気になる清潔観念の高い人は浄水器持ってってもいいかもしれない。笑 キャンプサイトでは残飯やごみが川に沈んでいたり、食器も川で洗うし、気になるひとは気になるのかも。わたしは気にしませんでしたけど。
お食事事情
お食事は3食+おやつがデフォルトでついてきます。朝ごはんを食べて、お昼をランチボックスに詰めてトレッキングスタート。キャンプサイトに着いたらおやつとチャイ(お茶)が出来ていて、ちょっと休んで晩御飯というのがルーティンでした。めっちゃありがてえ。
メニューはベジタリアンでダールとチャパティ、米、ビリヤニみたいなの、パスタ、オートミール、トゥクパ(チベットの麺)、ベジラップなどどれも美味しかったです!そして夕食には甘いおやつが付いてくることもあり、みんな楽しみにしていました。
費用
KGLでかかった費用は
ツアー料金16,750ルピー+保険240ルピー+税5%=約29,000円
登山口までのトランスポート1,200ルピー=約2,000円
計約31,000円(2023.7時点レート)
安い…!!
まとめ
という感じなんですがいかがだったでしょうか。イメージ湧きましたでしょうか?インドでトレッキングなんて聞くと全然現実味ない感じする方も多いと思いますが、予約と準備さえちゃんとしていけば、意外と簡単にリーチできるトレッキングなのです。日本の山々とはまた違った美しさのあるカシミールの山を満喫できるとても面白いトレッキングなので、興味のある方はぜひ検討してみてくださいね。インドは汚いけど、カシミールは美しいですよ。笑
ではでは。アッサラームアライクム。またね。
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